介護リーダーを辞めたい…その悩みを解消する方法とは?

こんにちは。ゆるちょこです。
介護の現場では
介護リーダーに抜擢されたが辞退したい」とか、
責任の重さやプレッシャーからリーダーを辞めたい
という声をよく耳にします。

今回は、そんな悩みを抱えている介護職の人向けに「介護職に必要な3つのスキル」という役職や立場によって階層ごとに必要なスキルだと言われる「カッツ理論」をご紹介したいと思います。
今、あなたが置かれている状況を客観的に捉えることで、プレッシャーが少しは軽くなると思いますよ。
最後までお付き合いくださいね。

介護リーダーを辞めたいと感じたときにスキルを伸ばす方法

介護リーダーとして働いていると、業務の負担や責任の重さ、人間関係のトラブルなどで「もう辞めたい」と感じることがあるかもしれません。
そんなとき、カッツ理論(カッツモデル)を活用することで、自分のスキルを客観的に見直してみませんか。
リーダーとしての可能性を広げるための具体的な考え方やとるべき行動が見えてくると思いますよ。

カッツ理論とは?

リーダーが学んだり成功するために必要な3つのスキルを示した理論です。
これはアメリカのハーバード大学の経営学者ロバート・カッツによって提唱された理論であり、介護や福祉の業界だけでなく、リーダー育成の指針としてさまざまな業界で応用されており、特に職階など役職など階層ごとに必要なスキルを理解し、効果的な研修や人材配置を行う上で役立つとして広く知られています。
この3つのスキルは、介護リーダーとしても非常に重要な要素であり、現状の課題を解決するためのヒントにもなります。
一言で表すならば、
仕事をするには3つの能力が必要であり、マネジメントの階層や立場によってどの能力(スキル)が重要視されるかが変わる
というものです。
下記の図を参照しながら説明を進めていきたいと思います。

それでは、介護リーダーに必要な3つのスキルについて具体例を出して説明していきます。

テクニカルスキル

テクニカルスキル(技術的能力)は、実務に必要な専門知識や技術です。
介護事業所では、管理職と言えども部下に指導できるくらいに現場での実務スキルを身に着けている必要があります。

  • 専門的な介護(認知症)知識や介護技術。業務を円滑に遂行する能力。
  • 介護現場では、ご利用者の介助方法や記録・管理のスキルが含まれます。

テクニカルスキルの具体例

1)緊急時対応能力
・ご利用者が急な体調不良を訴えた際、介護職員や看護職員と協力した迅速な対応。
・バイタルサインの確認や、必要に応じて医療機関への連絡を的確に行う。
2)介護業務の指導(新人や部下への指導)
・新人職員に対して、食事介助や移乗介助などの基本的なスキルを直接指導する。
・実際の事例を交えてわかりやすく説明し、ご利用者に負担をかけない技術を指導する。
3)介護ソフトの活用
・ケアプラン作成時に専用ソフトを使用し、職員がデータ入力しやすい環境を整備する。
・職員がシステムに不慣れな場合、使い方を説明し、操作方法を習得させる。

余談ですが、元職場の同僚にケアマネジャーの試験には受かったのですが、周囲からは「あの人使えないよね」と言われている職員がいました。
ケアマネジャーや介護福祉士の試験では記憶力がものを言います。
記憶力が優れている人は、知識を蓄積するのが得意であり、試験や座学型の学習には強い場合が多いです。
しかし、テクニカルスキルは、基礎的な知識をもとに実際の課題を解決するための応用力や問題解決力が求められます。
結局、その同僚は社内ではケアマネ職には就けず、数年後にキャリアップしたいという名目で老健に転職していきました。

つまり、記憶力だけではスキルを習得していると言うには不十分だという良い事例かと思います。

ヒューマンスキル

ヒューマンスキル(対人関係能力)は、職員や利用者と良好な関係を築き、信頼と協力を得る能力です。

  • チームや個人と良好な関係を築き、効果的にコミュニケーションを取る能力。
    ヒアリング(傾聴)や提案力、リーダーシップも含まれます。
  • スタッフ間だけでなく、ご利用者や家族との関係構築にも役立ちます。

ヒューマンスキルの具体例

1)スタッフとの円滑なコミュニケーション
・定期的なミーティングを開催し、現場の意見や悩みを共有できる環境を整備。
・例えば、職員が業務負担の軽減を求めている場合、スケジュールの見直しやシフト調整を提案する。
2)利用者との信頼関係構築
・ご利用者の声に直接耳を傾け、サービス改善に反映する。
・例えば、「食事の内容を見直してほしい」という要望を受け、栄養士と協力して改善案を提案・実施する。
3)スタッフ間の対立の調整
・ケアワーカー同士の意見の相違が生じた場合、双方の意見を丁寧に聞き取り、公平な解決策を提案する。
・例えば、特定の業務分担についての不満があった際、業務の見える化を進めることで不平等感を解消する。

介護の現場を見回すと「現場大好き」とか「何でも自分でやってしまう」というリーダーを見かけます。
ある意味、同僚や部下に仕事を教えられない」、「任せられない」、「育てられない」ということの裏返しでもあります。

介護職、とりわけリーダ職には現場で「業務を遂行する力」だけでなく、ご利用者や職員間の「人との関係をうまく回す力」が重要視される仕事です。

何でも自分でやろうと思うと、起こっている課題を整理したり、問題の本質を見極めて優先順位をつけられなくなってしまいます。
つまり、問題解決ができない、業務効率や生産性が上がらない、部下が育たない、チームワークが醸成されないという負のスパイラルに陥ってしまいます。

コンセプチュアルスキル

コンセプチュアルスキルは、事業全体の方向性を見据え、長期的な視点で組織運営を考える能力です。

  • 会社や事業全体を俯瞰し、問題を把握して解決するスキル。
  • 施設全体の運営や長期的な視点での課題解決に役立ちます。
    情報分析力や総合的判断力、本質を見極め能力なども含まれます。

コンセプチュアルスキルの具体例

1)サービスの方向性の策定
・介護事業所の管理者が地域の高齢者ニーズを分析し、「認知症対応型のデイサービス」を新たに導入することを決定する。
・地域包括支援センターや行政のデータを参考に、地域の人口動態や介護度の分布を把握し、必要なサービスを提案する。

2)事業拡大の戦略立案
・現在の利用者データや職員の稼働状況を分析し、利用率の向上を目指した計画を策定する。
・例えば、デイサービスであれば「送迎範囲を拡大する」「新規利用者獲得キャンペーンを行う」などの具体的な戦略を立てることなどです。
3)予防介護プログラムの導入
・現場スタッフからのフィードバックをもとに、ご利用者の身体機能の維持・向上を目的とした新しい機能訓練プログラムを導入するなど。

よく、リーダー職や中間管理職と言われる立場に立つと、「経営者の視点で物事を見なさい」と言われます。
それだけ、経営やマネジメントに関わるウェイトが高くなるということでもあります。
とはいえ、あまり難しく考えるとプレッシャーに押しつぶされてしまいます。

介護リーダーであれば、俗に言われる「PDCAサイクルを回す」ということから始めると良いかもしれません。
何よりも、現場で起こっている課題や問題点は何かを客観的に捉える習慣が必要かと思います。

これは、個人においても同じことが言えるかもしれません。
自分の得意なこと、不得意なこと。
好きなこと、嫌いなことややりたくないこと。
不得意なことを克服するのは難しいかもしれませんが、得意なこと、好きなことのスキルを伸ばしてみるのも悩みや自身の課題の解決策を導く手助けにもなるかと思います。

辞めたい理由スキルの視点で捉える

介護リーダーを辞めたいと感じる背景には、スキル不足や過度な負担が影響していることがあります。
以下に、辞めたい理由をカッツ理論に当てはめ、具体的な改善策を考えます。

1)テクニカルスキルが不足している場合

【よくある課題】

  • 介護記録の作成やITシステムの操作に苦手意識がある。
  • 新しい介護技術や制度変更への対応が難しい。

【解決策と行動】

  • 研修への参加: 外部研修や勉強会に参加して、最新の介護技術や知識を習得する。
    事例>あるリーダーは、ICTを活用した記録管理の研修に参加し、業務効率を大幅に向上させた結果、負担感が軽減されました。

【実践の場を増やす】

  • 現場での実践を重ねることで自信を深める。
    事例>施設内で模擬訓練を定期的に行い、新しい介助方法をスタッフ全員で共有する取り組みを実施。

2)ヒューマンスキルが不足している場合

【よくある課題】

  • スタッフ間の意見対立をまとめられない。
  • 部下や同僚との信頼関係が築けていない。

【解決策と行動】

  • コミュニケーションスキルを磨く: 傾聴や非暴力コミュニケーション(NVC)の手法を学ぶ。
    事例>部下の意見を尊重し、定期的な1対1の面談を導入した結果、少しずつお互いの距離が縮まり信頼関係が深まったリーダーがいました。
  • 感情のコントロールを習得: 感情に左右されないリーダーシップを目指し、マインドフルネスを取り入れる。
    事例>怒りを抑えられずに悩んでいたリーダーが、アンガーマネジメントと呼吸法を学び、ストレスをコントロールできるようになりました。

3)コンセプチュアルスキルが不足している場合

【よくある課題】

  • 業務の優先順位をうまくつけられない。
  • 長期的な目標を描けない。

【解決策と行動】

  • マネジメントの基礎を学ぶ:業務フローを見直し、タスクを整理する。
    事例>リーダー会議でタスク分担を明確化し、個々の負担を軽減した事例があります。
  • 課題を俯瞰する習慣をつける:自分の業務だけでなく、施設全体の課題や解決策を考える。
    事例>施設の稼働率向上のために、地域住民を対象としたイベントを企画し、利用者を増やしたリーダーがいました。

カッツ理論を応用したスキルを伸ばすのための方法

以下は、カッツ理論を活用してスキルを伸ばすための具体的なステップです。
1)自己分析を行う

  • 自分の強みと弱みをカッツ理論の3つのスキルに当てはめて分析。
  • >「ヒューマンスキルは得意だが、コンセプチュアルスキルが不足している。」

2)学習目標を設定する

  • 短期的な目標:「1ヶ月以内に記録システムの操作を習得する。」
  • 長期的な目標: 「1年以内にスタッフ全員が効率的に動ける仕組みを作る。」

3)実践とフィードバックを繰り返す

  • 現場で学んだスキルを活用し、上司や同僚からフィードバックを受ける。
  • >:「スタッフの意見を反映した業務改善策を提案し、成果を検証する。」

4)メンターを見つける

  • 経験豊富な上司や他施設のリーダーに相談し、助言を受ける。
  • >:「他施設の成功事例を学び、自施設に応用する。」

5)成功体験を積み重ねる

  • 小さくても良いので成功体験を積むことで、自信とモチベーションを高める。
  • >:「スタッフから感謝の言葉をもらい、やりがいを再確認する。」

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まとめ

介護リーダーとして働くことは、簡単ではありません。
しかし、カッツ理論を応用してスキルを磨くことで、自分自身の成長を実感し、リーダーとしてのやりがいを再発見できるはずです。
今の職場を辞めるという選択肢ももちろんありますが、次の職場へ転職したりキャリアップするためにこそ、その前に自分の可能性を広げる挑戦をしてみてはいかがでしょうか。

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