40代にもなれば誰もが一度や二度は「転職」を考えたことがあるかと思います。
介護職に限らず、キャリアの転機に差し掛かったとき、多くの方が
「現状を変えたい」
「新しい挑戦をしたい」と感じるものです。
転職したいと考える理由は様々でしょうが、
「絶対にこんな会社やめてやる!」
と勢い余って会社を辞めてしまってから慌てて転職先を探しても「書類選考でつまづき、面接にさえ進めない。」という事態になりかねません。
介護業界は人手不足だから、とタカをくくっていたにもかかわらず連戦連敗。
何ら準備もしないまま転職活動を始めると、思わぬ失敗を招きやすい年代でもあります。
40代後半で一般の企業から未経験で介護業界に飛び込んだ私が実際に体験した経験をもとに、40代以降の転職を成功させるために欠かせない「自己分析」と「スキルの棚卸」についてお届けしたいと思います。
介護職が転職を考える背景―40代で失敗が増える理由
人間関係だけが理由ではない
表向きは「人間関係」でも、深層には収入停滞・夜勤負荷・家庭との両立・昇進機会の少なさが絡みます。
40代はライフイベントと健康、キャリアの頭打ちが重なる年代です。
「勢い退職」のコストは思ったよりも高くつく
空白期間が伸びると焦り応募 →ミスマッチ →再転職の負債連鎖。
在職中準備で比較軸を固め、辞める前に決めるのが鉄則です。
介護職の離職理由の半数が「人間関係」とも言われます。
24年12月に厚生労働省が25日に公表した「介護サービス施設・事業所調査」の結果によると、昨年10月1日時点の各サービスの介護職員数は212.6万人。前年度と比べて2.8万人の減少となった。と発表しました。
介護事業者の倒産や閉鎖・統廃合の理由についても、その半数が「慢性的な人材不足」というデータもあり、人間関係がギクシャクするのもという根本的な問題が潜んでいると思われます。
年代を問わず、この記事をみている人であれば働きやすさやワークライフバランスを犠牲にしている職員が増えているということを肌で感じているところではないでしょうか。
下記は、「介護労働実態調査結果」ですが、個人的には表面的なデータだと感じています。

出典元:令和元年度 介護労働実態調査結果|介護労働安定センターより
主任や管理者経験者に求められるのは“運営力”と“即戦力”
現場が本当に欲しているスキルは「運営を回す力」
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勤務表作成:人員配置の最適化・欠員時のバックアップ設計
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家族対応:一次収束の型化、説明責任、記録の一貫性
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事故/感染/褥瘡の委員会運営:原因分析→再発防止→標準化
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加算・監査対応:算定根拠の整備、記録整合、監査同席
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記録DX:紙→チェックボックス化→システム化、入力負荷の平準化
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BPSD対応:環境・声かけ・投薬連携のトライ&レビュー
機械的に記述しましたが、これらは主任や管理職経験者として採用を考えている会社であれば「できて当たり前」に求められるスキルです。
つまり、「経験したことがあります。」というレベルでは弱いと言えます。
企業が管理職経験者に求めるのは「即戦力」であり、「現場を運営する力」だということを十分に認識しておく必要委があります。“明日から来て”の甘い誘いには要注意!
危険サインを見極めるポイント
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怒涛の即内定=恒常欠員の可能性
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教育体制の不在=新人が育たず、離職が連鎖
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残業横行=勤怠と実態が乖離、サービス残業常態化
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加算の属人運用=監査で是正・返戻リスク
これらの項目を見てピンときた方も多いのではないでしょう。
「早く来て」「明日からでも来て」という言葉の裏には、その会社の現状が苦しく、急場しのぎの要員”ニーズが潜むことが多いものです。
だからこそ見学・面接では「こんなことを聞いては失礼、だとかまずいかな?」と遠慮せず、しっかりと下記のような「自己分析」を事前に行い、面接官には遠慮せずに質問することが重要です。
自己分析:自身の進むべき方角を決める5問
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やりたい/手放したい業務は?(夜勤・重介助・家族対応の比率)
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現場スペシャリストかマネジメントか?
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給与・休日・通勤の優先順位(三角形で配点)
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5年後の役割像(ケアマネ/教育担当/事務・企画/管理者)
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自身の強みの裏付けエピソードを最低3本用意
スキル棚卸:見えない価値を“見える化”
資格・研修
介護福祉士/実務者/ケアマネ/認知症実践者→実践リーダー→指導者/医療的ケア(喀痰吸引・経管栄養)。
取得年・更新・役割範囲を記載。
実務スキル
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運営:加算算定・監査、記録標準化、感染対策、家族会運営
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マネジメント:勤務表、OJTテンプレ、評価・面談、定着率KPI
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臨床:栄養・口腔・排泄自立支援、拘縮予防、BPSD対応
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連携:地域包括・医療機関・行政との協働
汎用スキル
合意形成/折衝/プレゼン/SOP作成/ICT・AI活用(記録・シフト・教育)。
→ 異業種でも伝わる言葉(プロセス改善・KPI管理など)で言い換えると刺さります。
私の体験談
47歳、未経験で介護に飛び込む
IT・総務系からホームヘルパー2級だけを手に参入。
給与は前職比で3割ダウン。
夜勤・腰痛・BPSD対応に揉まれ、3年で一度離職。
ここで学んだのは「勢い退職のリスク」と「資格×成果の言語化」の重要性です。
伝えたいこと(H3)
「辞めてから考える」ではなく「在職中に整える」。
急がば回れ、ではありませんが、40代にもなれば冷静に判断し、慎重に行動することが何よりも重要になります。
自身の棚卸 →数字化 →書類 →面接練習 →条件交渉の順で進めると、給与・休日・負荷の三方良しで決まりやすいということです。
40代の勝ち筋3ルート
① 同業内アップグレード
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ケアマネ:体力負荷↓、調整・記録中心。収入安定レンジ。
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教育・研修担当:新人定着率/事故率低下など運営指標で価値を示す。
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管理者・施設長:勤務表/人件費/加算・監査の言語化で即戦力。
② 周辺職種へスライド
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福祉用具:適合・住改提案に現場語が効く。STAR=導入効果数値で説得。
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地域福祉・行政:困難事例の一次収束プロトコルを語れる人は強い。
③ 事務・企画への方向転換
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請求・監査・経営企画:数字×現場理解の希少人材。
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記録DX・業務改善:SOP、5分動画教育、ダッシュボードで再現性を提示。
応募前チェックリスト
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年間休日・夜勤回数・固定休(家族都合の配慮)
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OJT基準書(到達目安)有無
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離職率・平均勤続・代替要員体制
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残業分布(勤怠システムで可視化)/サービス残業の有無
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加算運用・監査のフロー(属人化度合い)
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外部研修補助・資格支援(ケアマネ/実践リーダー等)
見学・面接での“刺さる質問”と“見抜く質問”
刺さる質問
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「新人の到達基準(〇日目に〇できる)を可視化していますか?」
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「夜勤のマンパワー基準と緊急時のバックアップは?」
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「加算算定の根拠と監査対応フローは?」
見抜く質問
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「直近1年の退職理由トップ3は?」
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「残業時間の分布とピーク要因は?」
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「BPSD強い利用者ユニットの運用ルールは?」
回答が曖昧=運営の属人化リスク高め。十分に警戒するヒちょうがあります!
書類&面接はこれで通す
職務経歴の骨子
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概要:施設種別・規模・年数
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役割:ユニット運営/勤務表/家族対応/記録・加算
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実績:数字×期間×役割
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改善:記録DX、OJT標準化、委員会運営、等
志望動機フレーズ
「御施設の〇〇(理念・教育体系・加算運用)に共感。前職での〇〇改善を活かし、利用者QOL×職員定着の両立に貢献します。」
私の体験談
ケースA:夜勤導線見直しで転倒ゼロ(H3)
深夜導線をL字→回遊型に変更し、5分見守り→10分ゾーニングへ再設計。
照度と足元センサーも併用し、1ヶ月で転倒0件。
チェック式記録に変えたことで再現性が上がりました。
ケースB:家族クレーム一次収束
配膳遅延の苦情が多発。
遅延要因の見える化→配膳ローテ固定→アナウンス文テンプレ導入で2週間後に苦情1/4に。
家族連絡の頻度と時間帯も標準化しました。
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次回予告:「介護職が転職で成功するための年代別キャリアップ戦略!」―― 介護職の年代別キャリアアップ戦略を解説。
20代・30代・40代以上で選ぶべき転職の方向性と成功ポイントをまとめます。
まとめ
40代以降の主任・管理者クラスの介護職にとって、転職を成功させる最大のポイントは「運営力」をいかに具体的に示せるかです。
勤務表の最適化、家族対応、事故や感染の委員会運営、加算や監査対応、記録のDX化、BPSD対応――。
こうした業務を「数字」と「プロセス」で語れる人材は希少であり、まさに即戦力として高く評価されます。
一方で「明日から来てほしい」といった甘い誘いには注意が必要です。
即内定の裏側には、恒常的な人員不足、教育体制の未整備、サービス残業の横行など、赤信号が隠れていることがあります。
だからこそ、転職活動では見学や面接の場で、離職率・勤続年数・残業時間の分布・教育体制の有無を定量的に確認することが欠かせません。
数字や資料を提示できる職場は、運営の「見える化」が進んでおり安心感があります。
まとめると―
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即戦力を求める市場において「数字×プロセス」で語れることが合否を分ける
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「即内定」は人材不足のリスクサインであり、必ず定量で確認する
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転職は勢いではなく、準備と検証を経て判断することが成功の近道
主任・管理者として培った経験を整理し、数字で語れる形に変えることで、あなたの市場価値は確実に高まります。
転職は逃げではなく「前向きな選択」。自信を持って次のキャリアに踏み出してください。
よくある質問
Q1. 40代で異業種(福祉用具・行政)に行けますか?
A. 可能。現場知識×コミュニケーションは強武器。適合提案や地域連携をSTARで数値化すれば通ります。
Q2. ケアマネは体力的に楽になりますか?
A. 現場負荷は下がりますが、記録・調整・家族対応の質が求められます。加算・監査理解があると有利。
Q3. 面接でブラックを避ける質問は?
A. 離職率/平均勤続/残業分布、教育OJTの可視化、加算・監査の運用を具体数値で確認。
Q4. 書類で差がつくポイントは?
A. 数字×期間×役割。例:転倒30%減(3ヶ月/夜勤リード)。成果は一行で言える形に。
Q5. 体力が不安。現場を離れたい場合は?
A. ケアマネ/教育・研修/記録DX/請求・監査/福祉用具/地域福祉など**負荷↓×専門性↑**の選択肢が有効。
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