介護リーダーが実践する「信頼を育てるコミュニケーション術」

介護のマネジメントと人材育成

チームの力は信頼関係から生まれる

介護の現場で成果を出すチームには、例外なく「深い信頼関係」があります。

利用者様へのケア、急な体調変化への対応、シフトや引き継ぎ――。どれも人と人とのつながりが質を左右します。

しかし現場では、
「報告・連絡・相談が不足している」
「誤解やすれ違いが増える」
「不満や不信感が溜まる」

そんな課題もよく起こります。

リーダーの役割は「指示を出すこと」ではなく、安心して意見を言える場を作ること

協力し合える雰囲気を育てることが何よりも大切です。

👉 前回の記事「ドラッカー流MBOで介護チームを強化する方法」では、目的の言語化と目標運用をテーマにしました。

今回はさらに一歩踏み込み、現場の信頼関係を高めるコミュニケーション術を解説します。

信頼を築くための3つの原則

原則1:聴く力を持つ ― 「傾聴」が第一歩

信頼の出発点は「聴く姿勢」です。

  • 相手の話を遮らない
  • 相槌やうなずきで関心を示す
  • 「つまりこういうことですか?」と要約して確認する

これにより「自分の意見を大事にしてくれている」と相手が感じます。

原則2:承認する ― 小さな行動も見逃さない

「ありがとう」「助かったよ」――たった一言でも十分。

スタッフの努力を即座に承認することはモチベーションの源になり、チームの雰囲気を明るくします。

原則3:透明性を保つ ― 情報の共有を徹底する

人間関係のトラブルの多くは「知らされていなかった」ことから生まれます。

シフト変更、業務方針の転換、利用者様の状態変化――。

情報を早めに共有することで不信感を防ぎ、リーダーへの信頼が高まります。

介護現場で使える具体的な会話テクニック

1. 「オープンクエスチョン」で意見を引き出す

×:「大丈夫ですか?」
○:「どうすればもっとやりやすくなると思いますか?」

2. 「Iメッセージ」で指摘する

×:「あなたのやり方が間違っている」
○:「私はこういう方法の方が利用者様に合うと感じる」

→ 攻撃的ではなく意見共有として伝わります。

3. 肯定→改善→期待の順でフィードバック

  • 「ここはよくできている」
  • 「こうすればもっと良くなる」
  • 「次もぜひチャレンジしてほしい」

成功事例 ― 信頼関係で現場が変わった

ある老健の主任は、スタッフ間の連携不足に悩んでいました。

そこで月1回の「ミニミーティング」を導入。さらに良い行動を即座に承認する文化を定着させました。

3か月後――
・報告・連絡が増加
・ケアミスが減少
・「働きやすい職場」として求人応募者が増加

信頼構築は数字や成果に直結するのです。

リーダー自身の自己開示も効果的

信頼は一方通行では築けません。

リーダーも考えや失敗談を共有することで「人間味」が伝わり、スタッフは「この人になら相談できる」と感じます。

まとめ ― 信頼がすべての土台

介護現場の課題の多くは、信頼が薄れると一気に深刻化します。

逆に信頼が厚い職場では、小さなトラブルも早く解決し、人材定着率も高まります。

リーダーはコミュニケーションの質を高めることで、現場全体の雰囲気と成果を改善できます。

もし環境に限界を感じたら…

「もっと風通しの良い職場で働きたい」
「自分のリーダーシップを活かせる環境に移りたい」

そう思うなら、介護職専門の転職エージェントの活用がおすすめです。

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次回予告

第4話では「人材定着率を高めるための職場づくり」を解説します。

採用してもすぐ辞めてしまう…そんな悩みを抱える現場に向けて、実践的な改善策をご紹介します。

FAQ|よくある質問

Q1. 忙しくてスタッフミーティングができません。
A. 月1回30分でも十分。立ったまま短時間レビューが効果的です。

Q2. 承認を言葉にするのが苦手です。
A. 「ありがとう」「助かった」など短い言葉でも効果大。小さな承認を積み重ねましょう。

Q3. 信頼関係が悪化しています。どう立て直せますか?
A. まずは傾聴から再スタート。意見を聴く姿勢を見せれば雰囲気は変わります。

参考文献

  • ピーター・F・ドラッカー『マネジメント 基本と原則』ダイヤモンド社

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