困った言動が治らない部下への具体的な対応と指導法

介護のマネジメントと人材育成

~テクニカルスキルはあるのにヒューマンスキルが低い部下をどう指導するか~

介護現場では、「介護福祉士」や「ケアマネジャー」の資格や介護知識をどれだけ沢山持っていたとしても、ヒューマンスキルが低いためにチームの和を乱す職員が必ず出てきます。

リーダーとしては感情的に突き放すのではなく、具体的な行動改善の指導・小さな成功体験の積み重ね・組織的なフォロー体制を整えることが第一歩です。

それでも改善が見られない場合には、冷静に退職という選択肢を検討せざるを得ません。

👉 (参考)介護リーダーが身につけるべき3つのスキル(カッツ理論)については、こちらの記事も参考にしてください:介護リーダーを辞めたいあなたへ|悩みを整理しキャリアを広げる3つのスキル

介護現場で起こりやすい事例

介護リーダーの方からよく寄せられる声として、以下のような事例が挙げられます。

• 資格は持っており、知識面は問題ないのに「言葉遣いが高圧的」でスタッフから敬遠される

• 事故報告書などを必要以上に時間をかけて作成し、業務効率を著しく下げる

• 一度自分の考えに固執すると周囲の状況が目に入らず、協調性に欠ける

• 自己主張が強く、議論が感情的になりやすい

• 改善の指摘に対して「逆ギレ」してしまう

これらはすべて「テクニカルスキル(知識・技術)」よりも、「ヒューマンスキル(人間関係構築力・協調性・感情コントロール力)」に問題がある典型例だと言えます。

平たく表現すると、「人間力不足」とでも言えるでしょうか。

カッツ理論との関係

カッツ理論では管理職に必要なスキルを以下の3つに整理しています。

1. テクニカルスキル(知識・専門スキル)
2. ヒューマンスキル(対人関係・信頼構築力)
3. コンセプチュアルスキル(課題を整理・判断する力)

このうち、今回の課題は ヒューマンスキルの不足 にあります。

テクニカルスキルはあるのにヒューマンスキルが低い部下の事例

事例①:事故報告書に1時間以上かけるスタッフ

• 【問題点】業務効率の低下、他スタッフへのしわ寄せ

• 【背景】「完璧に書かねばならない」という思い込みやこだわり

• 【改善の糸口】「報告書は10分を目安に」という行動基準の提示と、練習機会を設ける

事例②:高圧的な言葉遣いでスタッフから孤立

• 【問題点】周囲の反感を買い、チームワークが崩れる

• 【背景】本人には「効率的に伝えている」という自覚しかなく、周囲の受け止めを理解できていない

• 【改善の糸口】アサーティブ・コミュニケーション研修を受けさせ、フィードバックの場で「お願いの言葉を添える」など具体的な代替行動を提示する

事例③:自分の意見を振りかざし、反論されると逆ギレ

• 【問題点】議論が感情的になり、建設的な話し合いが成立しない

• 【背景】承認欲求が強く、自分の価値を認めてもらえないと不安を感じる

• 【改善の糸口】「まず相手の意見をリピートしてから自分の意見を述べる」という傾聴のスキル練習を繰り返す

ヒューマンスキル不足の典型事例と改善策

カッツ理論を用いながら「ヒューマンスキルが不足しているケース」と改善策をいくつかの具体例でまとめます。

リーダーがこうした人材に向き合う際には、なかなかこれが正解、という対応策は少ないかもしれません。
下記の事例のように多面的に対応する必要が出てくるかと思います。

事例①:命令口調でスタッフに反感を買う

【状況】 知識はあるが、指示が常に命令調で「やっておいて」「それ違うから」と断定的。周囲が委縮し、相談が減ってしまう。

【改善策】

1. アサーティブ・コミュニケーションの習得

「私はこう考えるけれど、あなたはどう思う?」と意見を尊重しながら伝える練習をする。

2. フィードバックの言い換え

否定から入らず、「ここは良かったね。ただ、次はこうした方がもっと良くなるよ」と伝える。

3. 1on1面談を導入

定期的に個別で話す時間を取り、信頼関係を育む。

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事例②:周囲が見えず“我関せず”タイプ

【状況】 一つの作業に没頭すると、周囲の変化や助けが必要な場面に気付かない。

本人は「集中しているだけ」と思っているが、結果的にチームワークを阻害。

【改善策】

1. 気づきのトレーニング

「5分ごとに周囲を見る」「声をかける」といった小さな習慣をつける。

2. チーム全体の視点を持つ練習

シフト表やタスク表を俯瞰して確認する時間を作る。

3. ローテーション業務

意図的に他の業務も経験させることで、視野を広げる。

事例③:事故報告書に1時間以上かける

【状況】 完璧に仕上げようとするあまり、10分で終わる報告書に1時間以上。効率が悪く、他の業務が滞る。

【改善策】

1. タイムリミットを設定

「まず10分で書き切る」をルール化。必要なら後から加筆する。

2. フォーマット活用

事例ごとに基本のテンプレートを用意し、思考の負担を減らす。

3. 上司に確認して改善

「どこまで詳しく書けば良いか?」をすり合わせ、無駄を省く。

事例④:持論を振りかざし逆ギレする

【状況】 自分のやり方を正しいと信じ、異論を唱えられると感情的に反発。結果として孤立。
【改善策】

1. 傾聴スキルの習得

「まずは相手の話を最後まで聞く」を徹底。途中で遮らない。

2. リフレクション(振り返り)習慣

自分の発言や態度を振り返り、周囲がどう受け取ったかを考える。

3. メンターや第三者の視点

上司や外部の研修でフィードバックを受け、自分の偏りに気づく。

まとめ

ヒューマンスキルが低い人はとかく、「自分は悪くない」と思い込みがちですが、小さな習慣の改善と外部からのフィードバックで確実に変わることができます。

• 命令口調 → 共感的な伝え方に変える
• 我関せず → 周囲を意識する習慣をつける
• 効率の悪さ → 時間管理・フォーマットで改善
• 逆ギレ → 傾聴と振り返りで落ち着きを持つ

こうした改善を積み重ねることで、リーダーとしての信頼を取り戻し、「もっと成長したい」へと気持ちが変わる可能性があります。

テクニカルスキルが高いからといって、必ずしも戦力になるわけではありません。

リーダーはヒューマンスキルを伸ばす支援をしながらも、最終的に組織全体を守る判断を下す責任があります。

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