スタッフの失敗を「次の一手」に変えるフィードバック術

介護リーダーの悩み相談

「同じミスが繰り返され現場が混乱・・・、リーダーとしてどう指導していけばいいの迷ってしまう・・・」

そんな悩みはありませんか?

この記事では「介護現場でミスを成長のきっかけに変える方法」について詳しく解説します。

介護現場で働くと、どんなに真面目で努力家なスタッフでも「失敗」や「ミス」は避けられません。

ご利用の介助中のヒヤリハット、記録の漏れ、コミュニケーションの行き違い…。

リーダーや主任を任されている方にとっては、こうした失敗を 「どう扱うか」 が常に大きな課題になるはずです。

「厳しく叱ったほうがいいのか?」
「本人のためにあえて任せ続けるべきか?」
「周囲のスタッフにはどう説明したらいいのか?」

私自身、介護現場でリーダーを務めていた頃、同じ悩みを何度も抱えてきました。

しかしある時、失敗を成長の材料に変えるフィードバックの方法 を実践することで、チーム全体が驚くほど前向きに変化していったのです。

気が重い仕事は、つい後回しにいがちですが、今回はスタッフの成長速度が早まる「フィードバック術」を具体的に紹介します。

👉 前回(第18話)では「小さな成功体験」を積み上げる現場改善術」という話題をお届けしました。

改善の仕組みづくりと合わせて、ぜひ振り返ってもらえれば嬉しいです。

失敗は「学びの機会」に変えられる

失敗は正しく扱えば、現場の改善を加速させる「学びの機会」になります。

主任やリーダーのフィードバックの仕方次第で、スタッフの成長度合いも、職場全体の雰囲気も、さらには 離職率 までも大きく変わります。

【理由①】失敗は脳の「再学習」を促す

心理学や脳科学でも、失敗体験は学習効果が高いといわれています。

西田文郎氏の『勝負脳の鍛え方』(講談社)でも「失敗は能力を高める最高の教材」と述べられています。

失敗すると、脳は強いインパクトを受け、その後に行った改善行動が記憶に刻まれやすいというのが理由です。

つまり、失敗を正しく振り返り、改善策を実行できれば、成功体験以上の学び になるのです。
【理由②】怒りや否定は学習意欲を削ぐ

一方で、リーダーが感情的に叱責するとどうなるでしょうか。

その瞬間は緊張感が走りますが、スタッフの心には「萎縮」「自己否定」「逃げたい」という思いが残ります。

前の勤務先でも、リーダー的な立場の先輩職員が新人に対して「なんでこんなこともできないの!

何回、同じことを言えばわかるの?

毎日のように強く叱った結果、新人が自信を失って精神的に耐えられなくなり、20分おきにトイレに駆け込むようになってしまいました。

最終的には出勤できなくなり、最終的に退職してしまったケースがありました。

このように、人格を否定するような指導は、スタッフ本人だけでなく職場全体の士気を下げてしまいます。

【理由③】失敗共有はチーム力を高める

失敗を隠す文化(職場)では、同じミスが何度も繰り返されます。

逆に「安心して失敗を共有できる場」があれば、他のスタッフも予防策を学び、チーム全体の力になります。

実際に私が働いていた施設では「ヒヤリハット共有ミーティング」を定期的に開催し、責任追及ではなく 「どう防ぐか」 に焦点を当ててていました。

その結果、失敗を隠さず話せる雰囲気が生まれ、現場の安心感と安全性が大きく向上しました。

介護現場での成功体験

事例1:記録漏れを改善したデイサービス

新人スタッフが記録の一部を書き漏らしたことがありました。

以前の私なら叱責して終わらせていたかもしれませんが、その時は「どうすれば忘れにくくなるか一緒に考えよう」と声をかけました。

結果として、「終業前にチームで記録を確認する仕組み」 を導入し、それ以来記録漏れはゼロになりました。

事例2:入浴介助中のヒヤリハット防止策

老健で利用者さんが入浴中に滑りそうになったことがありました。

すぐに主任がスタッフ全員を集め、「原因は何か?」「どう防ぐか?」を話し合い、滑り止めマットの配置や声かけルール を見直しました。

その後、同様の事故は一度も起きていません。

事例3:急変時の混乱をマニュアル化で解決

グループホームで急変が発生した時、役割分担が曖昧で現場が混乱したことがありました。

ケース会議を開き、「誰が救急要請」「誰がバイタル測定」 などを明文化。

パニックになる職員もなく、次の急変時にはスムーズに対応でき、ご利用者の命を守ることができました。

失敗を「次の一手」に変える4ステップ

1. 事実を整理する(感情を交えず、客観的に)
2. 原因を特定する(「誰が悪いか」ではなく「仕組みの問題」を重視)
3. 改善策をチームで考える
4. 次の行動を明確化する(誰が・いつ・何をするのか)

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毎日、何が起こるか予測もつかない介護現場。

ご利用者のため、スタッフの成長のため、と思って現場改善のために日々努力していても、どうしても

「このまま今の職場で頑張るべきか…」
「それとも、もっと自分が成長できる環境へ踏み出すべきか…」

と悩む瞬間があります。

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失敗を共有したら職場が変わった話

「怪我の功名」という言い方をしますが、あらためて「失敗がスタッフを成長させる」という事例を取り上げたいと思います。

失敗談1:叱責だけで終わらせてしまったケース

ある新人スタッフが、服薬介助の時間を忘れてしまったことがありました。

当時の私は「なぜ忘れたのか」「注意不足だ」と強い口調で叱責してしまい、それ以上のフォローはしませんでした。

結果、スタッフは大きな自信を失い、「また失敗するのでは」という不安から業務への意欲が低下。

その後も小さなミスが続き、最終的には退職してしまいました。

今振り返ると、「叱責で終わらせた」ことが最大の失敗でした。

もし「どうすれば忘れにくくなるか」をその場で一緒に考えていれば、本人も現場も成長のきっかけになったはずです。

失敗談2:失敗を隠してしまったケース

老健時代、ベテラン職員が入浴介助中に利用者さんを軽く打撲させてしまったことがありました。

本人は「責任を問われたくない」と思い、報告をせず隠してしまったのです。

しかし後日、利用者家族から「腕にアザがある」との指摘を受け、発覚しました。

施設としては信頼を大きく損ね、関係修復に時間がかかりました。

この時、私は「失敗を隠さず報告できる雰囲気」を作れていなかったことを痛感しました。

もし最初に正直に共有できていれば、ご利用者への対応もスムーズで、組織全体の信頼も守れたはずです。

まとめ 失敗は「改善の起爆剤」

これらの失敗談から学べるのは、
• 叱責で終わらせるとスタッフを潰してしまう
• 失敗を隠す文化は組織の信頼を壊す

という2点に尽きると思います。

対照的に、前述の「成功事例」では、失敗を共有・改善の機会に変えることで、職場が成長の場へと変わりました。

つまり、リーダーがどのような姿勢で失敗に向き合うかが、現場を「前進」させるか「後退」させるかを決めるのです。

繰り返しになりますが、「なぜ起きたか」「次にどうするか」をチームで共有すれば、同じミスを防ぎ、現場全体の対応力を高められます。

主任やリーダーが率先して失敗を「学び」に変える姿勢を示すことで、スタッフも挑戦を恐れなくなり、前向きな組織文化 が育ちます。

👉 次回(第20話)では「ベテランと新人の力を融合させる」チーム作り」について詳しくお伝えします。

お楽しみに(^^♪
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【引用書籍リスト】
• 『勝負脳の鍛え方』 西田文郎 著/講談社
• 『No.1理論』 西田文郎 著/サンマーク出版
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