前回(第12話)では、「うちのチームなら大丈夫」という根拠なき自信の言葉が現場を動かす力について解説しました。
ポジティブなマインドセットはチームの士気を高めますが、日々の業務量や負担が過剰な状態では、その効果も長続きしません。
そこで今回は、介護現場の業務負担を根本から軽くする「業務棚卸し」をテーマにします。
「ムリ・ムダ・ムラ」を見える化して整理することで、スタッフが本来の介護業務に集中できる環境を作る方法を具体的に紹介します。
介護現場の負担軽減は「業務棚卸し」が最短ルート
業務棚卸しは、介護現場の負担軽減と効率化の最短ルートです。
全ての作業を洗い出し、優先順位を明確化・不要業務の削減・役割分担の最適化を行うことで、スタッフの負担を減らし、離職率低下とサービス品質向上が同時に実現します。
ムリ・ムダ・ムラを放置すると疲弊が加速する
介護現場は突発対応や書類業務が多く、日々の業務が積み重なりやすい環境です。
業務の全体像を把握しないまま運営すると、同じ作業の重複や、意味の薄いルーチンが増え、「忙しいのに成果が出ない」状態になります。
棚卸しで見える化すると改善ポイントが浮き彫りになる
全業務をリスト化し、「誰が・いつ・どこで・どのくらいの時間をかけているか」を明確にすると、
• 不要な作業
• 他の人でも対応可能な作業
• 外部委託できる業務
が見えてきます。
西田文郎氏の「成功脳」の応用
西田文郎氏は『勝負脳の鍛え方』(講談社)で「脳は達成感と余裕がある環境で力を発揮する」と説いています。
業務棚卸しによって業務量を適正化すれば、スタッフは達成感を得やすくなり、ポジティブな循環が生まれます。
事例1:書類業務の簡素化で1日30分の時間創出
ある特養では、同じ内容を複数の帳票に記入していたため、主任が業務棚卸しを実施。
不要な重複記入を廃止し、1日あたり30分の時間を確保。
その時間を利用者とのコミュニケーションや研修に充てられるようになりました。
事例2:清掃・補充業務の外部委託化
デイサービスでスタッフが行っていた清掃や備品補充を週2回だけ外部委託へ変更。
スタッフの精神的負担が減り、利用者対応の質が向上。
事例3:役割分担の見直しでミス激減
グループホームで、薬の準備を特定の2名だけが担当していたが、他の職員も担当できるようマニュアル化。
休暇や急な欠勤時でもスムーズに対応できる体制に。
業務棚卸しは一度きりで終わるものではありません。
定期的に見直すことで、常に最適な業務体制を保つことができます。
結果としてスタッフの余裕が生まれ、介護サービスの質が安定します。
業務棚卸しのステップ
1. 全業務の洗い出し(作業内容・担当者・時間)
2. 重要度と緊急度で分類(必要・不要・委託可)
3. 削減・効率化の施策を決定
4. 新しい業務フローをチームで共有
5. 1〜3か月後に再評価
業務棚卸しで時間を生み出しても、人員不足が続けば負担は残ります。
そこで頼れるのが、介護職専門の転職エージェントです。
経験豊富な人材を確保すれば、改善した業務フローを持続可能にできます。
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まとめ ― 軽くなると現場は強くなる
業務棚卸しは、「やらなくていい仕事」を減らし、本当に必要な仕事に集中できる環境を作ります。
主任やリーダーが主導して棚卸しを行えば、現場は効率化だけでなく、スタッフの笑顔も増えていきます。
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【引用書籍リスト】
• 『勝負脳の鍛え方』 西田文郎 著/講談社
• 『No.1理論』 西田文郎 著/サンマーク出版
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