前回(第17話)では、「スタッフの強みを活かすマネジメント」によって、現場のパフォーマンスを最大化する方法を紹介しました。
しかし、強みを発揮しても、結果がすぐに見えないとモチベーションは下がりやすいものです。
そこで重要になるのが「小さな成功体験」です。
介護現場の改善は、一気に大改革するよりも、日々の小さな成功を積み重ねるほうが継続的な成果につながりやすいと言われます。
「小さな成功体験」の現場活用法
日々の業務の中で「小さな成功体験」を意図的に作り出し、共有することで、スタッフの自信と改善意欲は加速します。
これは離職防止にもつながる、最もシンプルで効果的な現場改善法です。
成功体験は「できる感覚」を定着させる
西田文郎氏は『勝負脳の鍛え方』(講談社)で、「人は成功体験を繰り返すことで、成功が当たり前になる」と述べられています。
介護現場でも、「できた」「うまくいった」という感覚が次のチャレンジのエネルギーになります。
小さな成功は再現性が高い
大きな成果よりも、小さな改善や達成のほうが日常的に繰り返せます。
これにより、改善の習慣が根づき、現場文化として定着しやすくなると言えます。
成功はポジティブな連鎖を生む
スタッフの一人が成功すると、それが刺激になり、他のメンバーも前向きに取り組みます。
この「ポジティブ連鎖」は、心理的安全性を高め、協力体制を強化します。
格段に、チーム力がアップすることは言うまでもありませんね。
現場で実践された「小さな成功体験」事例
事例1:申し送り時間短縮の成功
ある特養で、朝の申し送りが長時間化していたため、主任が「要点3つだけで話す」ルールを導入。
初日から5分短縮でき、「これなら続けられる」という達成感が広がりました。
事例2:新人の初めての自立ケア
グループホームで、新人が初めて一人で入浴介助を担当。
終礼で「初めて自分でやりきった」と報告すると、全員から拍手。
これが本人の自信となり、その後の業務スピードが向上しました。
事例3:利用者の笑顔を引き出したレク
デイサービスで、レクリエーションがマンネリ化していたため、スタッフが新しい歌遊びを提案。
利用者の笑顔が増え、「やってよかった」と実感。
以後、毎月新しいレクを1つ導入する文化が生まれました。
小さな成功体験を積み上げる4ステップ
1. 達成しやすい目標を設定(1日でできるレベル)
2. 成功をすぐに共有(朝礼・終礼・LINEグループ)
3. チームで称賛する(拍手・ありがとうカード)
4. 記録して見える化(ホワイトボード・共有ノート)
小さな成功を積み上げるには、改善を楽しめる仲間が必要です。

もう限界かも…と思っているリーダーへ
あなたが現在、リーダーの立場に就いているのは、紛れもなく小さな成功体験を積み重ねてきたからに他ならないでしょう。
それでも、経営陣と頻繁に意見が衝突したり、人員不足で改善に手が回らないということもあるでしょう。
介護リーダーとして真剣に現場に向き合ってきたからこそ、責任の重さや人間関係の板挟みに疲れてしまうこともあります。
もし「もう限界かも」と思ったら、一人で抱え込む必要はありません。
介護職専門の転職エージェントに相談すれば、あなたの経験を正しく評価してくれる職場や、より働きやすい環境を一緒に探してくれます。
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まとめ ― 成功は「小さく」「何度も」
介護現場の改善は、壮大な計画よりも、日常に溶け込んだ小さな成功の積み重ねが鍵です。
主任やリーダーがこのサイクルを仕掛ければ、現場は驚くほど前向きに動き始めます。
昔から「他人を変えるより、自分が変われば相手も変わる」ということを言われます。
これは、相手を直接コントロールすることはできないが、自分の態度・言葉・行動を変えることで、相手の反応や関係性が自然に変化する という人間関係の原理を示しています。
西田文郎氏ではないですが、永遠の真理かも知れません。
他人のことはよく解りますが、自身のこととなるとなかなかそうもいかないのも事実です。
そんな時は、信頼のおけるスタッフに「私の長所は何だろう?」とたまに尋ねるのも良いかもしれませんね。
そして、「最近、スタッフに何か良い変化はなかったかな?」とか、
「〇〇さんは頑張っているかな?」と聞くことで、第三者の目を通してあなたとは違った視点で方向性が見えてくることもあるでしょう。
明日からも頑張りましょう(^^♪
次回予告(第19話)
次回は「スタッフの失敗を「次の一手」に変えるフィードバック術」をテーマに、日々の業務の中で自然に改善が続く仕組みの構築方法をご紹介します。
仕組みと文化を組み合わせることで、現場が自走する状態を目指す、というお話です。
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【引用書籍リスト】
• 『勝負脳の鍛え方』 西田文郎 著/講談社
• 『No.1理論』 西田文郎 著/サンマーク出版
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