あなたにはこんな悩みはありませんか?
• 急な利用者の体調急変や事故に直面すると、頭が真っ白になってしまう
• 人手不足のシフトで常にギリギリ、冷静な判断ができず不安になる
• トラブルが起きるとスタッフ同士の雰囲気が険悪になり、チームワークが崩れてしまう
介護現場では「想定外の連続」が日常です。
しかし、そんな逆境を チームを強くする力に変える“勝負脳” を手に入れられたらどうでしょうか?
この記事では、西田文郎氏の『勝負脳の鍛え方』(講談社)をベースに、私自身の体験談も交えながら、介護現場でリーダーや主任が逆境をチャンスに変える方法をお伝えします。
前回(第20話)では「ベテランと新人の力を融合させる」チーム作りという No.1理論 を紹介しました。
この理論は「根拠のない自信」が現場の安心感を生み、スタッフの潜在力を引き出す効果があると解説しました。
しかし、今回は一歩踏み込んで、 その自信すら揺らぐような状況 ― 人手不足、複数利用者の同時急変、災害時の停電など ― に直面したときに必要な「勝負脳」の使い方を解説します。
逆境は成長の舞台
介護現場において逆境を完全に避けることは不可能です。
むしろ「突発的な課題」こそがチームを強くし、スタッフ一人ひとりの能力を引き出すきっかけになります。
西田氏も「困難は能力開発の装置」と述べています。
つまり、逆境は 脳を覚醒させ、成長を促すチャンス なのです。
勝負脳は意識して鍛えられる
勝負脳とは「プレッシャー下でも冷静かつ前向きな判断を下せる脳の状態」のこと。
これは特別な才能ではなく、日々の 言葉・行動・思考習慣 で鍛えることができます。
介護現場で勝負脳を持つリーダーは、
• 混乱を最小化する
• チームの一体感を高める
• スタッフの不安を安心に変える
といった大きな効果を発揮します。
逆境時こそ、リーダーの勝負脳が現場を支える命綱
介護現場では予期せぬ事態は避けられません。
そのとき主任やリーダーが 「焦らず、落ち着いて、できることから始めよう」 と判断できるかどうかで、その日の業務の質と安全性が大きく変わります。
理由:脳はプレッシャーで誤作動しやすい
西田氏によれば、人間の脳は強いストレスを受けると「脳の防衛反応」が働き、
• 思考が短絡化する
• 冷静な判断ができなくなる
といった誤作動を起こします。
勝負脳はこの防衛反応を抑え、 前頭前野の働きを最大化 することで解決策を導きます。
具体例
事例1:利用者2名同時急変でも混乱ゼロ
老健時代に2名が同時に急変。
主任は即座に「Aさんは救急対応、Bさんは家族連絡」と指示を分担。
スタッフは混乱することなく役割を遂行できました。
後日「リーダーの落ち着いた声で安心できた」という感謝の声が多数寄せられました。
事例2:災害時の停電と避難誘導
私の体験談です。
以前、勤務していた施設で 台風による停電でエレベーターが停止。
一瞬場が凍りましたが、私は「今いるメンバーで階段を使い、一人ずつ確実に誘導しよう」と決断しました。
結果として全員を無事に避難させることができ、利用者からも「安心した」との声をいただきました。
「先に安心感を与える」 という西田氏の理論を体現した場面でした。
事例3:新人スタッフの初ミス対応
入社1か月の新人が重大な記録ミスをしてしまったとき、私は叱責ではなく「大丈夫、改善のチャンスにしよう」と声をかけました。
結果、新人は同じミスを繰り返さず、むしろ他のスタッフをサポートする役割を担うまでに成長しました。
この経験は「逆境は人を育てる」という勝負脳の実践例となりました。
勝負脳は日常から鍛える(おさらい)
「逆境=成長の舞台」という考え方をチーム全体で共有し、日常の小さな困難から乗り越える習慣を作ることが重要です。
実践ステップ ― 勝負脳を鍛える3つの習慣
1. 朝礼で「今日の逆境ワード」を共有
例:「今日は人手が少ない。でも乗り切れば効率が上がる」
2. 小さな成功体験を記録
困難を克服した事例をホワイトボードに書き出し、毎週振り返る。
3. 「先に安心感」ルールを徹底
トラブル時の第一声は必ずポジティブワードにする。
まとめ
逆境は避けるものではなく、力に変えるものです。
西田文郎氏の「勝負脳理論」は、介護リーダーにとって 現場を守り、チームを成長させる強力な武器 となります。
👉日常から「勝負脳」を鍛えていけば、どんな場面でも自信を持って「うちのチームなら大丈夫」と言えるでしょう。
👉 【次回の記事】では「スタッフのモチベーションを継続的に高める心理的仕掛け」というテーマで解説します。
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よくある質問(FAQ)
Q1. 勝負脳は誰でも鍛えられるのですか?
はい。日々の習慣や言葉の使い方を意識することで、誰でも身につけられます。
Q2. スタッフ全員が勝負脳を持つ必要がありますか?
全員が持つことが理想ですが、まずはリーダーが実践し、その姿勢がチームに伝染していく形が現実的です。
Q3. 新人スタッフにも勝負脳は必要ですか?
必要です。ただし、新人はまだ経験が浅いので「安心感を与えるリーダー」の存在が特に重要になります。
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引用書籍
• 『勝負脳の鍛え方』 西田文郎 著/講談社
• 『No.1理論』 西田文郎 著/サンマーク出版
• 『ツキの大原則』 西田文郎 著/サンマーク出版
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