“ありがとう言葉”が現場の奇跡をつくる|脳を喜ばせるスイッチを入れよう

介護リーダーの悩み相談

前回(第4話)では、
「スタッフが動かない」
という課題に対して、リーダーの“言葉の力”が
どうチームを動かすかを、西田文郎氏の理論をもとに解説しました。

今回はその延長線上にあるテーマ。
「ありがとう」という言葉の力にフォーカスします。

一見、当たり前すぎて見過ごされがちなこの言葉。
でも実は、職場全体の空気を変え、
人の脳に“やる気”という名のスイッチを入れる、最強の道具なのです。

💡「ありがとう」は“報酬系”を刺激する魔法のスイッチ

介護の現場は、感情労働の連続です。

人に寄り添う。気を配る。身体を動かす。
どれもエネルギーが必要です。

そんな日々の中で、
「誰かに認められた」「感謝された」
と実感できる瞬間が、職員にとっての“報酬”になります。

西田文郎氏は、著書『ツキの大原則』(現代書林)でこう述べています。

「脳は、プラスの言葉に反応し、やる気や行動を促進する」
「“ありがとう”という言葉には、脳を活性化する力がある」

つまり、「ありがとう」は
単なる礼儀や挨拶ではなく、
“やる気スイッチ”を押す脳内スイッチなのです。

👤「ありがとう」の発信者こそが、現場の空気を変える人

多忙な介護現場では、
目の前の業務に追われてしまい、
「ありがとう」と言う余裕がなくなりがちです。

でもその一言があるかないかで、
相手の1日が大きく変わります。

西田氏は『No.1理論』(三笠書房)の中でも、こう述べています。

「感謝の気持ちを“言葉”にして伝えられる人間が、一流の結果を手にする」

つまり、「ありがとう」を
意識的に言葉にできるリーダーこそが、
周囲にエネルギーを与える存在なのです。

🤔 なぜ“ありがとう”が行動と成果を変えるのか?

誰かから「ありがとう」と言われると、
脳内ではドーパミンという快楽物質が分泌されます。

これは、脳の「報酬系」と呼ばれる部分に作用し、
次のような反応を生み出します。

✅ やる気が出る
✅ ポジティブな感情が湧く
✅ 「また頑張ろう」と思える

この効果は、
職員のモチベーション維持だけでなく、

それが自然に
✅離職の防止
✅現場の安定
✅信頼関係の構築
といった面でも大きな影響を与えます。

📝 事例①:ありがとう日報で離職率が半減した特養

ある地方の特別養護老人ホームでは、
スタッフ同士が毎日1回、「ありがとう日報」を書き合う取り組みを導入しました。

たとえば、

「〇〇さんが笑顔で対応してくれて安心しました」
「急な対応ありがとう、助かりました!」

といった言葉が交わされます。

たった1分の習慣。
それがきっかけで、職場内のコミュニケーションが改善。

結果として、1年で離職率が半減しました。

施設長はこう語ります。
「辞める理由が“感謝されない”から“やりがいがある”に変わった」と。

💬 事例②:クレームを「ありがとう」で転換したショートステイ

あるショートステイ施設で、
利用者の家族から「対応が冷たい」との苦情が寄せられました。

責任者は、スタッフを責めることなく、こう言いました。

「この声は“改善のヒント”をくれたんだよ。ありがとう、と言いたい」

その一言が、職員の心を柔らかくしました。
そして、みんなで“利用者目線の接遇”を見直す機会に。

以後、クレームは激減。
「安心して任せられる」との声が増えたのです。

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🤝 事例③:「ありがとう」の習慣が人間関係の連鎖を生んだ現場

あるグループホームでは、
主任が毎朝「昨日一番うれしかった“ありがとう”」を
ひとこと発信するルールをつくりました。

すると1ヶ月後。
自然と職員同士でも「ありがとう」を言い合う習慣が広がりました。

勤務交代や申し送りもスムーズに
新人にも声をかけやすくなり
「空気が柔らかくなった」との声が多数

結果、現場のストレスが大幅に軽減されたのです。

🚀 あなたの「ありがとう」が職場の未来を変える

西田文郎氏の理論が示す通り、
“言葉の力”は、脳に働きかけ、行動を変え、現実を変えます。

中でも、「ありがとう」は、
一番身近で、最も影響の大きい言葉。

だからこそ、今日からあなたが、
「まず自分が感謝を伝えるリーダー」になってみてください。

その一歩が、職場を変える原動力になります。

📌 まとめ

「ありがとう」を、
単なる挨拶やマナーではなく、
現場を動かす“道具”として使う視点を持ちましょう。

報酬系スイッチを意識的にオンにすることで、

スタッフのやる気
利用者との信頼関係
職場の雰囲気

すべてが好循環に変わります。

まずは、自分から“ありがとう”を発信すること。
それが、現場に“プラスの波紋”を広げていきます。

🔻次回予告|第6話:「指示待ち職員を動かす脳のスイッチ」

スタッフへのちょっとした声掛けにこそ、成長のチャンスがあります。

次回は、リーダーの声かけ次第で、
“指示待ち”が「自ら動く人」に変わる!

言葉の選び方が現場の大変革につながるお話です。
▶️ 第6話を読む

📚 参考文献・引用元一覧

本記事の執筆にあたり、以下の書籍および文献を参考にしています。

西田文郎(2003)
『ツキの大原則』 現代書林
> ポジティブな言葉が脳に与える影響、「ありがとう」の効果に関する解説を引用。
西田文郎(2006)
『No.1理論』 三笠書房
> 感謝の言葉が成果や人間関係に与える影響、「一流の結果を生む言葉」の章より引用。
西田文郎(2009)
『勝負脳の磨き方』 主婦の友インフォス
> 否定語が脳のパフォーマンスを低下させる仕組み、言葉と脳の関係について引用。

※本記事は上記文献の内容をもとに、介護現場の中間管理職(主任・リーダー層)向けに再構成・解説したものです。

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