あなたは介護現場で、こんな悩みを抱えていませんか?
「スタッフのやる気が続かない…」
「チーム全体が後ろ向きで、雰囲気が暗い…」
「改善提案をしても実行に移らず、結局現場は変わらない…」
前回(第22話)では「感謝フィードバック」によって心理的安全性を高め、チームの士気を上げる方法をお伝えしました。
今回はさらに一歩進んで、スタッフの行動そのものを変える「未来語り」について解説します。
「未来語り」とは、まだ起こっていない未来を、まるで既に実現しているかのように語る方法です。
西田文郎氏の『成功脳の作り方』(サンマーク出版)や『No.1理論』(サンマーク出版)では、人間の脳は「イメージされた未来」を現実化するために無意識に行動を起こすとされています。
介護現場でも、この未来語りを取り入れることで、驚くほどチームが前向きになり、実際の成果へとつながります。
「未来語り」とは何か
【定義と実例】
未来語りとは、望む未来を具体的に言語化し、肯定的な言葉で共有する発信スタイルです。
- 「来月の利用者満足度アンケートでは90%以上を達成しているはずです。」
- 「新しいレクリエーションが定着して、利用者さんの笑顔が増えている状況が目に浮かびます。」
このように「すでに達成している状態」を現在形で語ることがポイントです。
【成功脳との関係】
西田氏は「成功脳」と「失敗脳」という概念を提唱しています。
- 成功脳:肯定的な言葉や未来イメージによって、行動が自然に前向きになる状態
- 失敗脳:不安や否定的なイメージで行動が停滞する状態
未来語りは、まさに成功脳を優位にするスイッチになります。
なぜ「未来語り」が現場を変えるのか
【潜在意識を動かす】
脳は「現実と想像の区別が苦手」です。
ポジティブな未来を語ると、脳は「その未来を実現する行動」を自動的に探し始めます。
【不安より希望を優先する】
介護現場では人手不足や急なトラブルにより、不安や焦りが先行しがちです。未来語りは、チームの意識を「希望」へと切り替えます。
チームの方向性を揃える
リーダーが未来像を共有することで、スタッフ同士の判断基準が統一されます。その結果、現場での小さな選択が未来の成功に向かうようになります。
「未来語り」の成功事例
事例1:老健での離職率改善
ある老健施設の主任は、朝礼で「今年度末には離職率が半分になっている」と繰り返し語りました。
スタッフは自然と「どうすれば離職が減るか」を考えるようになり、声掛けや勤務調整の工夫が広がりました。
半年後、実際に離職率は40%減少しました。
事例2:レクリエーション改革
デイサービスの主任が「来月から週1回は利用者全員が笑顔になる新イベントを開催している」と未来語りを実践しました。
スタッフはその未来を実現するためにアイデアを出し合い、結果としてアンケートを行ったところ利用者満足度が7%向上しました。
事例3:新人教育の加速
グループホームの管理者が「半年後には新人全員がリーダー補佐を務めている」と語りました。すると先輩職員が積極的に教育に関与し、新人の独り立ちが早まりました。
私の体験談
体験談1:会議での未来語りがチームを変えた
私が所属していた施設では、以前「改善提案をしても動かない」という雰囲気がありました。
そこで私は会議の冒頭に「3か月後には、全員が自分の改善案を1つ以上実行している」と未来語りをしました。
すると、最初は半信半疑だったスタッフも「自分は何を実行しようか」と自然に考えるようになり、提案が実際に形になるケースが増えました。
体験談2:新人教育での未来語り
新人指導に悩んでいた時期に「半年後には、新人が利用者さんから信頼され、夜勤も安心して任せられている」と語り続けました。
その結果、先輩職員が「じゃあどう教えたらその未来になるか」と前向きに関わってくれるようになり、新人の自立スピードが早まりました。
「未来語り」を効果的に使う3つのコツ
具体的な数字や情景を入れる
「良くなっている」ではなく、「離職率が半分になっている」「利用者の笑顔が倍増している」と具体化することが重要です。
現在形で語る
「〜している」「〜になっている」と現在進行形で語ると、脳が現実として受け止めやすくなります。
繰り返す
同じ未来語りを繰り返すことで、潜在意識に深く刻まれます。
現場での活用方法
- 朝礼で「今月末の成功状態」を共有する
- 会議の最後に「未来イメージ共有タイム」を設ける
- 成功した未来語りを事例集にまとめて共有する
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未来語りをしても人材不足が改善しない場合は、介護職専門の転職エージェントを活用するのも一つの方法です。
未来志向のチームに新しい仲間を迎えることで、描いた未来がより早く現実になります。
日々、頑張っていても、
「このまま今の職場で頑張るべきか…」
「それとも、もっと自分が成長できる環境へ踏み出すべきか…」
と悩むことはありませんか?
そんなときは、介護職専門の転職エージェントに相談するのがおすすめです。
介護業界に精通したキャリアアドバイザーが、あなたの経験や強みを理解したうえで、
最適な職場やキャリアプランを一緒に考えてくれます。
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まとめ
未来語りは、介護現場における不安を希望へと転換し、スタッフの行動を前向きに導くマネジメントスキルです。西田文郎氏の理論が示すように、脳は描かれた未来を現実化しようと動きます。
リーダーであるあなたが未来語りを習慣化すれば、チームは自然と未来に向けて歩み出します。
【次回の記事】では、さらに「ツキを呼ぶ習慣」のつくり方について解説します。
よくある質問(FAQ)
Q1:未来語りは本当に効果がありますか?
A:科学的にも「脳は現実と想像を区別できない」とされています。繰り返し行うことで、行動が自然に変わります。
Q2:ネガティブなスタッフにも効果がありますか?
A:最初は懐疑的でも、繰り返し聞くうちに意識が変化していきます。成功事例を共有することが効果的です。
Q3:小規模な事業所でも活用できますか?
A:むしろ少人数の方が効果的です。未来像を共有しやすいため、現場が一体化しやすくなります。
【引用書籍リスト】
- 『成功脳の作り方』 西田文郎 著/サンマーク出版
- 『1理論』 西田文郎 著/サンマーク出版
- 『勝負脳の鍛え方』 西田文郎 著/講談社
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